7月の月例活動は「明日香」を深く知るため「明日香の自然と人のいとなみを語る」と題して座学を中心に実施しました。
午前中は奥飛鳥の稲渕周辺を散策し明日香の原風景の一部を形成している棚田の風景、棚田の稲作を維持している「井手」、「勧請橋」、「男綱」「飛石」(万葉歌碑含む)などを地元(稲渕)にお住いされている女性の方に案内していただき散策しました。
「下井手」の一部 明日香には「下井手」を含め「前田井手」、「阪田井手」、「大井手」の4つの「井手」があります。棚田を含め明日香の稲作、畑作を今も維持しています。
「勧請橋」と「男綱」 綱掛神事は稲渕と柏森大字に伝わる神事で毎年1月に行われる。子孫繁栄と五穀豊穣、無病息災を祈るとともに、悪疫などがこの道と川を通って侵入するものをおしとめ、又、上流から福が出ていかない様にせき止めているとされています。住民を守護するための神事といわれています。稲渕大字の神事は全体を神式でおこない飛鳥川の上の「勧請橋」に「男綱」を掛け渡し神職がお祓いをする。一方飛鳥川上流の柏森大字の神事は仏式で行なうことが特徴で、「女綱」を飛鳥川に掛け渡します。
「飛石」と「万葉歌碑」 私は貴方に対して決して遠く離れた気持ちは持つていませんということを歌っています。万葉の昔人は恋しい人に逢いに行くのにこの「飛石」を渡って逢いにいったのでしょう。
この棚田の素晴らしい景観は国の「重要文化的景観」の選定を受けている一つです。
地元の方の「農業は命をささえ、景観がこころをささえる」という言葉がまさしくあらわしているとおもいます。
現地案内終了後、部屋内で明日香の21年目になる「棚田オーナー制度」、稲作のための「水口祭」、「さなぶり」、稲に花がつくころ風の神を鎮める神事の「風日待」、雨や晴れをお願いする行事「殺牛儀礼」、稲作用の水の確保にまさに命がけの行事「鉄火起請」等。又、日本書紀には飛鳥時代に皇極天皇が飛鳥川上流の「南渕」で雨ごい行ない雷鳴が轟き大雨が降ったという記述があります。一時途絶えていたが明日香の橘の「春日神社」、「飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社」に奉納された絵馬を参考にして明日香の伝統芸能として「南無天踊り」として復元されています。
地元に密着したお話しを聞かせていただきました。明日香の暮らしを守る又、発展させるためにいろいろな伝統を継承していこうという心強さを感じました。有難うございました。
昼からは「明日香の実話と民話を語る」と題してサークル員により「平田新池の地蔵」、「榎龍神」、「吉備姫王と猿石」「朝風峠と朝風地蔵」、「耳なおし地蔵」「高松塚のたたり」「豊年橋の謂われ」などを紙芝居、朗読等で語っていただきました。担当の歴史サークル員さんご苦労様でした。
歴史サークル 7月の活動
